畳文化を取り戻したい
―技へのこだわりと挑戦―
瀬 戸 和 郎
畳
畳替えには「裏返し」「表替え」「新畳」と3種類の方法があって、これをタイミングよく行うことで長く快適さを保つことができます。
昔は和室が多かったし冠婚葬祭を家でやっていたけど、今ではマンションに住んだり、家を持ってもなかなか畳にまで気がまわらないでしょう。生活スタイルの変化で伝統的な日本の職人の仕事も、意識も変化していく。
いいものが少なくなっていく中でやはり、伝統をつたえられる。その担い手として日本の住宅を正座・畳文化にかえしていきたいです。 |
1.はじめに
2.職人の仕事
3.畳について
4.畳の魅力
5.おわりに
1.はじめに
職人レポート第2回目は、畳職人・瀬戸和郎さんです。
瀬戸さんは世に言うところの2代目です。先代・東馬梅一さんの東馬畳店を後継し、以来手仕事による畳製作に携わってきました。「進学も考えたけど、手仕事がすきで・・・」という言葉通り、青いイグサに針を刺す手捌きは職人としての強さと自信を見るものに与えます。学卒者にとって就職先は引く手あまただったであろう時代に手仕事を求め、今もなおこだわり続ける畳職人を訪ねてお話を伺いました。
2.職人の仕事
瀬戸さんの仕事は主に、住宅やマンションの畳替えです。得意先は昔からの馴染みがほとんどで、仕事の範囲は遠く奈良・京都にまでおよぶこともあるそうです。(以前界隈に住んでいた人)。
畳替えには通常1週間程度の日数をみてもらうそうですが、一日に10帖半〜12帖が限度であるなか、今日受けて当日納入という仕事も稀にあるそうです。
頼まれると嫌とは言えない性格なんですね。
|
|
瀬戸さんの仕事場は外からもうかがえます。取材中にも3組の来客(?)がありました。"近所の寄合い所"だそうです。ここでも瀬戸さんの人柄がわかりました。
|
|
|
畳職人の七つ道具。行程に応じて使用する道具が違うから、その数も極めて多い。 |
|

|
現場の寸法を測るレーザー基準器。「このハイテク機器はべんりだよ」
機械の利点をとりいれつつも、畳製作に手仕事は欠かせません。
|
畳職人の仕事とは畳一枚を製作することのみならず、割付分を敷き込んで完成といえます。
「ぴたっと敷き込まれてこそ完成。新鮮な感動があります。」
3.畳について
阿倍野・昭和町界隈には、東馬畳店を含め5件の畳店があります。その数は昔よりずいぶんと減ったそうです。仕事の数も以前と比べると半分以下に減りました。
時代の移り変わりにより、畳自体様々に変化したようです。
畳は大きく畳床、畳表、畳縁からできていて、この一つ一つは再利用することが出来ます。畳縁は丈夫な織物なので、古い畳表を縛るのに利用しているし、い草や付け糸である麻糸は天然物、畳床はもともと稲作のワラの再利用でつくられています。畳はもっと見直されるべきですね。
畳床
以前はよく藁で作っていましたが、今では軽くて虫のつきにくいスタイロ畳がほとんどになってきたそうです。藁床で畳を作る仕事は全体の1割程度。
「昔は体育館3つ分もある倉庫に藁を確保していたところもあったけど、ほとんどがマンションにとってかわりました。都市圏でそれだけの土地を確保するもの大変なんでしょう」
畳表
い草の茎を麻または木綿の糸で織ったもの。気候の違いがい草の質に影響するようで、質のよいい草は日の焼け方が違うそうです。
|

|
広島・備後のい草。畳表の最高級で商標がついてました。
さすが、中国産のものとは香りが違います!
|
畳縁
縁は、色、柄、材質の違いによってさまざまです。
|
|
1200種類はあるとおっしゃってました。 |
4.畳の魅力
先に述べたように畳を見直すことは、環境問題に取り組む第一歩といえます。そこで畳の魅力を伺いました。
|
○ 湿度の調整をしてくれる。
○ 断熱・保温効果が高い
○ 吸音・遮音効果が高い。
○ 消臭効果がある。
○ 部屋の寸法に合わせて作れる。
○ 藁床についてはすべて再利用できるので環境によい
|
☆畳は日本の気候にぴったりの床材といえます。
|
○ 集い(座る)の文化を演出する。
○ 抗菌・除湿効果を持つ健康畳が開発されている。
○ 縁なしの畳は洋風のモダンな住宅にあう。 |
☆ 畳の可能性は広がっています。
|
瀬戸さんは、仕事以外に釣りが趣味で、釣竿は竹を用いて作ってしまうほどのこだわりようです。今回、自慢の作品の一部をみせていただきました。
|
本当に手仕事が好きなようで、釣り仲間の分まで作ってしまうほど。 |
5.おわりに
生活スタイルが変わっても、い草の香りに包まれると誰もがほっとするのではないでしょうか?畳のもつ感触のよさ、快適さは見た目の美しさとともに、座って生活する日本の文化になくてはならないものです。郷愁を誘う日本ならではの畳を手仕事を通して作り続けている、そんな瀬戸さんにエールを送りたいと思います。
取材・文・写真:佐々木、石倉(2003.8.5)
◆プロフィール
瀬戸和郎 セトカズオ
◆連絡先
645-0022 大阪市阿倍野区播磨町1-3-25
TEL 06−6621−7286
FAX 06−6621−6815
kazuo_seto@yahoo.co.jp 地図
|